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    日本人と糖尿病

    こんにちは。ドクターカズです。

     

    「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻のごとくなり。」

     

    戦国大名の織田信長が、戦の前に演じたという舞の一節です。

    これによると、信長の生きていた16世紀頃の人生は、だいたい50年だったということでしょう。

     

    一方で厚生労働省の統計によると、日本人の平均寿命が50歳を超えたのは、戦争直後の昭和22年(20世紀半ば)。

    つまり「人生50年」は、信長の時代から昭和までの約400年間、ほとんど変わっていなかったのです。

     

    その後、医学の進歩や栄養状態の改善により、日本人の平均寿命は急激に延び、最近では「人生100年」という言葉まで登場しています。

    短期間でのこの急速な寿命の延びに、私たちの身体は対応できているでしょうか?

     

    人体内で、血糖値を上げるホルモンはいくつもありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけです。

     

    原始時代から人類の生活は、飢餓との戦いでもありました。

    獰猛な肉食獣(時には人間)からの攻撃におびえながら、来る日も来る日も食べ物を求めてぎりぎりの生活をしていたのでしょうね。

    農耕が始まっても、度重なる飢饉や戦争などで、空腹の状態が圧倒的に多かったことは想像できます。

     

    その結果、長期間食べ物が手に入らない状態でも、低血糖にならないように(血糖値を上げるように)する多くのホルモンが進化してきたのです。

    満腹になることはめったにありませんでしたから、血糖値を下げるホルモンはインスリンひとつだけで十分だったのでしょう。

     

    医学的に、日本人は欧米人に比べ、インスリンを出す力が弱いことがわかっています。

    我々日本人の祖先は、ほとんど血糖値を下げる必要がないような、さぞかし過酷な飢餓状態を生きのびてきたのでしょう。おいたわしや…。

     

    そんなご先祖さまの生活状態が、欧米人はたくさん食べても、太りはするものの糖尿病にはなりにくい体質、日本人は食べすぎると簡単に糖尿病になってしまう体質への変化を促しました。

     

    数世紀にわたる飢餓状態から、ここ数十年で急激な飽食の時代に突入した現代の日本。

    その変化のスピードに、私たちのDNAがついてこられるはずがありません。

    最近の糖尿病の蔓延にはこういう理由もあったのですね。

     

    今回は少し難しい話になりましたが、最後までお付き合いいただき有難うございました。 

     

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