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    夏椿が咲く頃に

    こんにちは。ドクターカズです。

     

    今年も夏椿が咲きました。玄関のアプローチ横にある、我が家のシンボルツリーです。

     

    祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

    沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす

     

    平家物語の冒頭に登場する沙羅双樹とは、夏椿のことだそうです。白くて皴のある5枚の花びらに包まれて、沢山の黄色いおしべが密集する美しい花です。

     

    平家物語の作者は、この花の中に「盛者必衰の理」という世の無常を感じ取ったのですね。

    夏椿の咲き方には、いくつか特徴があります。

     

    一つ目は、咲きそうになっても、なかなか開かないということ。

     

    普通は5月末頃から、つぼみが膨らみ始めます。真ん丸なつぼみがどんどん大きくなって、今にも咲きそうになってからが長い…。「今日こそは!」と期待して眺めるのに、いつもおあずけを食わされます。

     

    二つ目は、花の寿命がとても短いことです。

     

    朝に咲いたと思ったら、夕方には落ちてしまいます。潔いというか、あっけないというか・・・。

     

    一瞬の命の輝きを放って、次々と咲いては落ちていく一日花。平家物語の作者は、夏椿のこのような美しくも短い一生に、世のはかなさを見たのかもしれません。

     

    我が家の夏椿を見て、いつも思い出すことがあります。それは約30年前、私がアメリカ留学に出かける時のことです。

     

    出発の日を待ちながら、私は毎朝、この夏椿を眺めていました。長期間家を空けることや、見知らぬ外国での生活、身重の妻を伴うことなど、心は不安でいっぱいでした。その気持ちをなだめるように、夏椿の咲くのを今か今かと待っていました。

     

    つぼみは大きく膨らみ、今にも咲きそうなのに、なかなか咲かない夏椿。

     

    花を見る前にお別れだなぁ…と思っていたら、出発当日の朝、真っ白な一輪が花開いたのです。

     

    たくさんの荷物やスーツケースを抱えて旅立つ私たちを、夏椿は愛らしい姿で見送ってくれました。それはまるで私たちの門出にエールを贈ってくれているかのようでした。

     

    帰国してからも、この夏椿は、私たちが旅立った6月半ばのほぼ同じ日に、毎年見事な花を咲かせます。

     

    今年も瑞々しく咲く夏椿を眺めては、不安でいっぱいだった当時の自分を懐かしく思い出してしまうドクターカズでした。

     

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