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    もの忘れと認知症の違い

    こんにちは。ドクターカズです。

     

     「最近もの忘れがひどくて・・・。認知症になったかもしれない。」 

    年配の患者さんから、時々こんな相談を受けます。

     

    年を重ねると誰でも、もの忘れが目立ってくるのは当たり前です。しかしながら、もの忘れがひどくなったからといって、必ずしも認知症とは言えません。単なるもの忘れと認知症は、根本的に違うからです。

     

    一般的に記憶とは、①記名(憶える)、②保持(忘れないように維持する)、③再生(必要な時に思い出す)の三つの要素がスムーズに連結して成り立っています。

     

    一旦憶えたことは、②から③の回路を作動させて繰り返し思い出していれば、忘れることはありません。反対に、保持の時間がとても長くなったり、憶えたことをあまり再生していないと、記憶は無くなってしまいます。

     

    「試験の時に憶えたはずの英単語が出てこない」とか「以前に会ったことのある人の名前がどうしても出てこない」というようなケースは、たいてい②から③の再生回路が不完全で上手く回っていないからです。

     

    こんな場合は、ちょっとしたヒントがあれば、大抵は思い出すことができます。

      

    それに対して、認知症の初期には①の記名ができなくなります。つまり認知症の患者さんは、一旦憶えたことを忘れるのではなくて、初めから憶えることができないのです。

     

    見聞きしたことだけでなくすべての体験が、根本的に脳内に入力されていないのですから、ヒントがあっても思い出せるはずがありません。

     

    ですから、同じことを何回も繰り返し聞いてきたり、同じものをいくつも買ってきたり、今来た道を帰れなくなったりするのです。一方で、新しいことは憶えられなくても、昔のことは思い出すことができるのは、過去の記憶回路が残っているからです。

      

    加齢による単なるもの忘れの場合、たいていその人は忘れっぽさを自覚していて、探し物も努力して見つけようとします。

     

    一方認知症の患者さんは、もの忘れの自覚に乏しく、探し物も誰かが盗ったと人のせいにしたり、忘れたことをごまかしたり、取り繕ったりすることがよくあります。

      

    2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になると言われています。

     

    認知症の患者さんは、知性は障害されていますが、感性は比較的保たれています。

     

    環境の変化には敏感に反応し、嫌なことは本能的に回避しようとします。プライドがとても傷つきやすい反面、周囲の愛情を敏感にキャッチして、自分の気持ちが受け入れられると安心するのです。

     

    ですから、あなたの周りにいる認知症のお年寄りが、ご飯を食べたばかりなのに、「○○さんや~~、ご飯はまだかね~~」と繰り返し聞いてきても、決して責めたり馬鹿にしてはいけません。

     

    「ハイハイ、今作っていますよ~~」と笑顔で答えてあげてくださいね。

    (画像はforget-me-not、忘れな草です)

     

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