こんにちは。ドクターカズです。
昔々、学生時代の恩師が仰いました。
「病気を知る一番の方法は、その病気になることだ。
すべての病気にかかれば名医になれる。」
当時の私は、なるほど、そんなものか…と、深く納得した記憶があります。
確かに一度でもかかったことのある病気は、発症から終息まで、すべての症状を身をもって体験できます。
ですから、教科書で勉強するのに比べ、格段に深く理解することができることは間違いありません。
例えば、インフルエンザに罹ったことのある人は、突然起こる高熱・頭痛・筋肉痛といった辛い症状を、自分の身体が鮮明に覚えていることでしょう。
またタミフルをはじめとする薬の効き具合も、実際に経験することができます。
病状の推移やその時の体感などを、明確かつ具体的に説明できるほど、インフルエンザに詳しくなれるのです。
そして最も重要なのは、その症状の酷さを知っているだけに、苦しんでいる患者さんの気持ちに、寄り添えるようになることです。
けだし名言だと思います。
しかし、恩師の言葉の後半部分は、あまりにも非現実的だと言わざるを得ません。
いくらなんでも、すべての病気にかかることは不可能です。
基本的にどんな病気でも、自ら進んでなりたい人はいないでしょうし、なろうと思ってもなれない病気の方がはるかに多いのですから。
何よりも、いくら研究のためとはいえ、その病気になって死んでしまっては元も子もありません。
インフルエンザのように、罹っても完治する一時的な病気に限って有効な例え話だと思います。
私もその昔、恥ずかしながら医学の研究というものをかじっていました。
60億個の細胞からなる私たちの体は、神秘的なまでによくできていて、その組成や働き、細菌やウイルスの影響、病気の原理や治療法など、研究すればするほどその奥深さに圧倒されます。
なかにはどんどんのめり込んで、研究室を中心に世界が回っているような生活をする医師も…。
情熱というか、執念というか、時には、そうきたか!?…と思わされるケースもありました。
ある難病について、熱心に研究していた医師がいます。
自分のライフワークとして、その病気の解明と治療法に、文字通り、人生を捧げていました。
寝ても覚めても、頭の中は、その病気のことばかり。
きっと空から見ていた医療の神様が(…そんな存在がいるとして)、彼の情熱に心を動かされたのでしょう。
その医師は、ある日、その難病に罹っていた女性と出会い、恋に落ち、結婚しました。
病院や研究室だけではなく、家庭でも、その病気と間近に接するようになり、四六時中、いつも研究中のような日々が訪れました。
自分の研究が愛する人の役にも立つと思えば、仕事にもさらに熱が入ったことでしょう。
私にあの言葉をかけてくれた恩師も、研究の虫でした。
ずいぶん前に亡くなられましたが、あの先生も、研究のためなら、なんでもしそうな気がします。
自分のすべてを研究に捧げる…、こういう研究の鬼のような医師たちが、医学の発展を支えているのは間違いありません。
彼らの努力に感謝して、ドクターカズはその功績を日々の診療に生かさせていただきます。
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