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    ドクターカズか、AI(人工知能)か?

    こんにちは。ドクターカズです。

     

    最近、AI(人工知能)という言葉をよく耳にします。

    AIは既に身の回りにある電化製品や自動車など、幅広い分野に応用されています。

     

    将棋や囲碁のプロ棋士に勝ったというニュースも聞きました。

    AIは過去の膨大な棋譜データを記憶していますから、対局中に最良の一手を素早く見つけることが出来ます。

    AIには感情がありませんので、ピンチになっても動揺せず、長時間の対局でも疲れません。将来は、現在のほとんどの人間の仕事が、AIに取って代わられるとまで言われています。

     

    では、医療とAIの関係はどうなるのでしょうか?

    例えば、レントゲン写真やCT画像から肺癌を発見する診断学では、膨大な量の肺癌の画像データを記憶できるAIは非常に有用で、実際にアメリカでは実用化されつつあります。

     

    また、患者さんの症状や検査成績から、可能性のある病気を順番に導き出したり、その病気に対する標準的な治療法を探し出す能力にも長けています。

     

    日々刻々と増大する医学知識を無限に蓄積していくAIに、最近記憶力が怪しくなってきたドクターカズは白旗を揚げざるを得ません。

     

    このように診断学の分野では、AIが将来の医療に大きく貢献することは間違いありません。実際にAIは、医師の役割を果たすことができるのでしょうか。

     

    AIが病気を診断するためには、患者さんの症状や診察所見など、情報の入力が必要です。

    実際の医療現場では、この情報を得るために、四苦八苦しています。


    というのも、患者さんの中には、ご自分でも症状がはっきり表現できなかったり、漠然とした不安感だけで来院されたりする場合が、少なくないからです。

    そのような患者さんには、正確な情報を上手く引き出すために、医学的知識に基づいたコミュニケーション能力が必要になります。

     

    様々な理由で来院される患者さんの本音の部分を聞き出すためには、患者さんの痛みや苦しみを理解して共感することが大切です。

    何気ない表情やちょっとしたしぐさなどにも注意しながら、言葉のキャッチボールを続けるうちに、いつのまにか不安が解消されていたり、中にはただ話をお聞きするだけで満足される場合もあります。

     

    ただ無味乾燥な会話だけでは、どんな言葉も相手の心に響きませんし、お互いに信頼関係を結ぶこともできません。

     

    医療は医学の知識だけではできません。

    患者さんは三者三様、性格や考え方まですべて違います。

    ですから同じ病気でも、個々の患者さんへの最善な治療法もそれぞれ違って当然です。

     

    例えば全身に転移した癌の治療でも、徹底的で強力な治療を望む方もあれば、あえて癌と戦わない方もおられます。

    そういう場合の助言と判断は、現在のAIでは難しいでしょう。

     

    もう少し身近で分かりやすい例を挙げれば、AIは痛みがわかりませんから、小児に少しでも痛くない検査や治療を選択する配慮はできないでしょう。

     

    今のところ、AIは医師の診療を支援してくれる有用なツールのひとつです。

    将来のことはわかりませんが、AIもどんどん進化して、患者さんの心の機微を読み取る会話能力や、痛みや苦しみに共感できる感性を身につける可能性はあります。

    医師の仕事も、AIに取って代わられる日がくるかもしれません。

     

    最後に付け加えておきますが、いつも暇を持て余しているドクターカズは、診察室での世間話ではAIには絶対負けませんぞ。

      

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