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    ドクター改め、ミスターカズ?

    こんにちは。ドクターカズです。

     

    私が自分を「ドクターカズ」と称するように、日本で「ドクター」といえば、医師のことを思い浮かべますよね?

    一般の人たちには「ミスター」や「ミセス」という呼称を使います。

     

    しかし、自分たちのことをあえてミスターやミセスと自称する医師がいることをご存知ですか?

     

    イギリスでは、外科医は自分のことをドクター○○ではなく、ミスター○○と呼びます。

    内科や精神科・産婦人科など外科以外の医師たちは、日本と同じようにドクター○○なのに、外科医だけがミスターと自称するのです。

    それも相当なプライドを持って…。

     

    これには歴史的な深い理由があります。

     

    中世のヨーロッパでは、医学=内科学であり、人の身体を切ったり縫ったりするのは、元々刃物を持つ理髪師の仕事でした。

    大学で学位と資格を授与された当時の内科医は、手の技を卑しい仕事と考え、外科治療に携わらなかったのです。

     

    また、当時は修道院が病院を兼ねていましたから、神聖な場所での出血を伴う外科的処置は、敬遠されていました。

    その結果、民衆の要望に応じ、怪我や火傷、おできの処置などは、市井の理髪師に任されていたのです。

    彼らは、徒弟修業で技術を継承する職人集団だったため、ドクターという呼称は認められず、一般人と同じミスターと呼ばれました。

     

    時代が変わり、外科が医療専門職として確立された時、イギリスの外科医たちは、逆にその歴史的誇りから、自分たちをミスターと呼ぶようになりました。

    現在、イギリスをはじめとする英連邦諸国では、医師資格を取った時点ではドクターですが、その後、修練を重ね外科専門医になって初めて、ミスター(女性はミセス)の称号が与えられます。

     

    伯爵とか侯爵とか…、称号好きなイギリス人らしいですね。

     

    外科医は、合法的に人の身体に刃物を振るうことが出来る、稀有な職業です。

    医師国家試験に通っただけでは手術はできませんから、外科の道に進む場合、先輩から手術を教えてもらわなければなりません。

    ですから、外科には昔ながらの職人気質が根強く残っているのです。

     

    また、他の科に比べて一人前になるのには時間がかかり、肉体的にも精神的にも大変な職業であることから、最近では、若い医師の外科志望者が少なくなってきています。

     

    私も元は外科医の端くれですが、ドクターやミスターの呼称にこだわる気持ちはありません。

    しかしながら、ただでさえ成り手の少ない若い外科医の皆さんには、イギリスの外科医が自らをミスターと名乗るような、大いなる気概とプライドを持ってもらいたいと思います。

     

    蛇足ですが、もしイギリスへ旅行して、現地の外科医にお世話になることがありましたら、「ミスター○○」と呼んであげでください。

    きっと喜ばれますよ。豆知識として覚えておいてくださいね。

     

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